研究概要 |
四相反応のモデルとしてカルボベンゾキシフェニルアラニンの脱保護基反応を行った。この反応は有機相中の原料が反応して出来た生成物が水相に溶けだしていく反応分離である。 触媒としてPd/C、溶媒として1,2ジクロロエタンを用いてこの反応を行った。回分式反応器を用いて反応の性質を調べたところ水がない条件では反応が進行しないことがわかった。流通式管型反応器を用いてこの反応を行ったところ触媒が失活した。これは触媒担体が親油性であるため触媒近傍に有機相が滞留し生成物が水相に抽出されずに触媒表面に析出し、それが失活の原因となったのである。 そこで触媒担体を親油性である活性炭から親水性であるアルミナに変更し反応実験を行った。触媒は日本エンゲルハルド社製0.5wt%Pd/アルミナを用いた。 まず、回分式反応器を用いて活性炭担体を用いた触媒との比較を行った。触媒をメッシュで作った籠に入れて撹拌軸に取り付け反応を行った。活性炭担体の場合に比べて反応速度の低下がみられたが、これは両触媒の担持方法の違いによるものと思われる。両触媒とも担持率は同じであったが活性炭は細孔内までPdが分散していたのに対してアルミナは表面に集中して担持しており触媒の効率が悪くなったと思われる。また、溶媒として1,2ジクロロエタンと1-オクタノールを比較したところその二つに差は出なかった。今後は塩素の含まれない1-オクタノールを溶媒として用いることにした。 次に流通式反応器としてトリクルベッドリアクターを用いて反応を行った。Pd/C触媒では生成物の析出が生じた条件でPd/アルミナ触媒を用いたところ析出を生じずに安定して反応した。
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