高純度ナノクラスターの新しい生成法の基礎的研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750683
• 研究機関: 姫路工業大学
• 研究代表者: 前田 光治 姫路工業大学, 工学部, 助手 (00264838)
• キーワード: nano-cluster / nano-nuclei / crystallization / emulsification / mutual solubility / solid solubility / purity / separation process

研究概要

エタノール水溶液中の飽和脂肪酸混合物の希薄溶解度について検討した結果、液液相互溶解度と固体溶解度が同時に存在する可能性を見いたした。その事実を検証するため、3成分系、4成分系の液液相互溶解度および固体溶解度の測定し、熱力学関係式により計算した。そこで、これまでにない新しい晶析分離操作を発案し、実証した。
次に、上記のような背景を基盤に、飽和脂肪酸混合物の希薄溶解度の特異性を利用することによって、高過飽和の溶液からナノクラスターを生成する方法を検討した。その結果、希薄溶液からの飽和脂肪酸の結晶化は、エマルションの中間生成物を経て、水溶液相から起こることを観察した。熱力学的見地から観察された現象の妥当性を証明した。
一方、分子論的アプローチにおいては、Lennard-Jones流体の純粋系と2成分系の溶液の固液相転移をNPTアンサンブルMDにより観察した。その結果、異種分子間相互作用パラメータは、混合物の混和性を決定し、均一溶液、不均一溶液を再現できることがわかった。混和性の少ない溶液からの結晶化では、水溶液中の疎水性物質の結晶化をうまく再現できた。また、異種分子間相互作用パラメータが純物質に近づくにつれて溶液は均一系になり、一般的な溶媒からの溶質の結晶化も再現できた。
現在、クラスタ、結晶核の新しい分類法の検討を進めており、また、実際にナノクラスターを生成させ、その評価を検討している。

研究成果

• [文献書誌] K.Maeda,T.Kashimoto,K.Fukui and S.Hirota: "Solid-Liquid Equilibria and Binodals of Liquid-Liquid Equilibria for the Quaternary Systems Aqueous Solution+Binary Fatty Acids"Fluid Phase Equilibria. 162. 193-209 (1999)
• [文献書誌] K.Maeda,Y.Nomura,K.Tai,Y.Ueno,K.Fukui and S.Hirota: "New Crystallization of Fatty Acids from Aqueous Ethanol Solution Combined with Liquid-Liquid Extraction"Ind.Eng.Chem.Res.. 38. 2428-2433 (1999)
• [文献書誌] K.Maeda,W.Matsuoka,T.Fuse,K.Fukui and S.Hirota: "Molecular Dynamics Study on Solidification of Lennard-Jones Fluid"Book of Abstract, Pacifichem 2000, Honolulu, Hawaii.. 2. (2000)
• [文献書誌] K.Maeda,Y.Aoyama,K.Fukui and S.Hirota: "Novel Phenomena of Crystallization and Emulsification of Hydrophobic Solute in Aqueous Solution"J.Colloid and Interface Science. 234. 217-222 (2001)