平成12年度は水熱合成法とpost-synthesis修飾法に着手し、Ti-MWW(Ti-MCM-22)の最も有効な調製法が水熱法であることを確立した。比較的に入手しやすい水熱合成MWW型アルミノシリケートを脱アルミニウムし、その後固定床流通式反応装置を用いてTiCl4蒸気による高温処理を行い、脱アルミニウムで形成した欠陥サイトへのチタンの導入を試みた。しかし、このpost-synthesis修飾法で導入されたTiは量が少ない、触媒活性を示さないアナターゼ型チタニアになりやすいことが分かった。一方、ホウ酸を構造支持剤に用いた水熱合成法では、環状アミン型剤、フュームドシリカ源とチタン源から始めてTi含有MWW型ゼオライトを得ることができた。 ホウ酸共存下で得たTi含有MWW型ゼオライトは、層構造を持つため、層の内部に四配位Ti種、層間に六配位Ti種が同時に存在する。有機物の型剤を除去するため、焼成を行うと、層と層の間に脱水縮合が起り、六配位Ti種は凝縮してしまい、アナターゼ型チタニアに変化する。アナターゼ型チタニアは非常に安定で強酸溶液で還流処理を行っても除去できないことが分かった。しかし、未焼成の試料を予め硝酸または硫酸の水溶液で処理した後、焼成を行った場合、六配位のTi種はきれいに取り除かれた。X線回折、赤外分光法、紫外分光法等手法でTiの存在状態を評価したところ、殆どのTiがTi-MWWの結晶骨格に存在するをことが明らかとなった。
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