昨年度の研究で、金属のEDTA錯体を均一なメソ孔を持つ担体(MCM-48)に含浸することにより、高濃度、高分散に、細孔内のみに遷移金属を導入することができたため、本年度は最初に、この多孔体型遷移金属担持触媒の物性について詳しく検討した。金属担持の操作自体は非水系の溶媒中で行うことができたが、得られた試料は非常に親水性が強く、水を選択的に吸着してしまうため、水蒸気下での反応には適さないことがわかった。そこで、試料の表面をトリメチルシリル化することにより、表面の疎水化処理を行った。その結果、わずかながら比表面積、細孔径が減少したが、均一な細孔、高比表面積を保ったまま、表面の疎水化ができた。この試料(M-MCM-48-si1、Mは担持金属)は水と有機物の競争吸着において、非常に選択的に有機物のみを大量に吸着することから、水蒸気存在下のNO除去反応において、共存する水の影響を受けにくいものと考えた。すでに、Ti、Vを担持した多孔体によりNOの選択還元反応についての報告もなされているが、水共存下における安定性が低いことが問題となっている。本研究で調製した多孔体型Ti担持表面処理触媒は水に対する安定性が極めて高く、また、酸素存在下において約350℃までの熱安定性も兼ね備えているため高活性が期待されるが、これまでのところ金属担持量が少ないために、NO除去反応においては期待通りの高活性が得られていない。今後、担持金属の組み合わせ、担持量をさらに検討し、高活性を示す触媒を調製していく予定である。
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