本年度は、平成12年度に確立したin vitro代替軽鎖発現系を用いて、トランスジェニックマウスのB細胞での代替軽鎖の発現について検討し、また、発現細胞の由来について野生型マウスを用いて検討して、以下のような成果が得られた。 1.B細胞レパトアが限定されたトランスジェニックマウスの脾臓B細胞を単離し、anti-CD40抗体およびIL-7で刺激したところ、λ5およびRAG2の発現がRT-PCR荷よって確認された。したがって、in vitroでの代替軽鎖はRAG2の発現は、マウスの系統やB細胞レパトアの大きさに関係なく起こる現象であり、トランスジェニックマウスを用いたin vitroの解析系は代替軽鎖およびRAGの機能解析に適していることが示された。 2.脾臓細胞中において代替軽鎖を発現する細胞集団を同定するため、未熟B細胞に発現する抗原を認識する493抗体でB細胞を分画して、代替軽鎖の発現を検討した。単離細胞中に最初から存在する代替軽鎖発現細胞は、多くが未熟B細胞である可能性が示されたが、それらを除去したB細胞においても、in vitro刺激に依存して代替軽鎖の発現が確認されたことから、末梢成熟B細胞において代替軽鎖が発現していることが示唆された。 今後、このトランスジェニックマウスを用いた代替軽鎖解析系を用いて、末梢B細胞における抗体遺伝子再構成の機構について詳細な検討をする予定である。
|