SOR光利用X線散乱法による電極/溶液界面の原子レベルでのその場構造追跡

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750722
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 近藤 敏啓 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70240629)
• キーワード: SOR光 / in situ SXS法 / Au(111) / Au(100) / Pd / 電析 / スタッキングフォルト / pseudomorphic layer

研究概要

本研究では、シンクロトロン軌道放射(Synchrotron Orbital Radiation;SOR)光を利用した表面X線散乱(Surface X-ray Scattering;SXS)法により、金単結晶電極(Au(111)、Au(100))上へのPd電析過程における構造変化をその場追跡した。Au(111)上では、1層目には原子レベルで平坦なPd層が形成され、面内のPd-Pd原子間距離は、Pdバルクの2.75Åとは異なり、Auバルクと等しい2.885Åで、下地Au基板のfccサイトに吸着していることがわかった。しかしながら、2〜3層目はfccサイトには入っておらず、4〜5層目では面内Pd-Pd原子間距離がPdバルクと同じ2.75Åとなった。この4〜5層目の面内の原子配列方向は下地のそれと同じであり、4〜5層目以上でPd(111)面を露出した単結晶相を形成していることがわかった。また、2〜5層目の間で下地に対してhcpサイトに吸着した、いわゆるスタッキングフォルトがあることがわかった。このスタッキングフォルトの形成がPd-Pd原子間距離を変えるエネルギーになったものと思われる。
一方、Au(100)上では、30層以上までPd-Pd原子間距離が2.885Åに保持されたまま電析された。これは、3回対称であるAu(111)と異なり2回対称であるAu(100)上では、緩和エネルギーの元となるようなスタッキングフォルトが形成されないため、と考えられる。

研究成果

• [文献書誌] M.Takahasi: "Pseudomorphic Growth of Pd Monolayer on Au (111) Electrode Surface"Surface Science. 461. 213-218 (2000)
• [文献書誌] M.Abe: "Characterization of Novel Redox-Active Triruthenium (III) Complexes with a Disulfide-Alkyl Ligand. Anion-Dependent Redox Behavior of the ……"Journal of the Chemical Society, Dalton Transactions. 2693-2702 (2000)
• [文献書誌] T.Kondo: "Effect of Surface Morphology of a Gold Substrate on Photocurrent Efficiency at a Gold Electrode Modified with a Self-Assembled ……"Chemistry Letters. 964-965 (2000)
• [文献書誌] K.Tamura: "In situ Optical and Electrochemical AFM Monitoring of Cu Electrodeposition Process on Bare and (NH_4)_2S-Treated p-GaAs (001) Surfaces"Journal of the Electrochemical Society. 147(9). 3356-3360 (2000)
• [文献書誌] K.Tamura: "Structural Study of Electrochemically Deposited Cu on p-GaAs (100) in H_2SO_4 Solution by In Situ Surface-Sensitive X-ray Absorption Fine ……"Journal of Physical Chemistry B. 104(38). 9017-9024 (2000)
• [文献書誌] 近藤敏啓: "電気化学便覧(シンクロトロン軌道放射光の利用)"丸善. 213-218 (2000)
• [文献書誌] 近藤敏啓: "界面ハンドブック(電極表面の構造と機能性電極)"エヌ・ティー・エス(印刷中). (2001)