CO_2-メタノール物理吸収-光電気化学的還元ハイブリッドシステムの開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750729
• 研究機関: 三重大学
• 研究代表者: 金子 聡 三重大学, 工学部, 助手 (70281079)
• キーワード: 炭酸ガス / メタノール / 光電気化学的還元 / 地球温暖化 / エネルギー

研究概要

p型半導体電極(InP,Si,GaAs)を用いて、メタノール溶媒における炭酸ガスの電気化学的還元を行った。還元生成物として、COやギ酸が得られた。従来のメタノール溶媒を用いた炭酸ガスの電気化学的還元と比較して、光エネルギーを利用して分だけ、投入する電気エネルギーが少なくてすみ、メタノール溶媒でも、光電気化学的還元が進行することが分かった。温度を低下させると、水素の電流効率は抑制され、炭酸ガスの電気化学的還元が進行することが分かった。p-InP電極を用いると、COの電球効率が40%以上得られたが、p-Si電極を用いるとギ酸が20%以上の電球効率で得られることが分かった。水溶液系の半導体電極を用いた光電気化学的還元では、水素の電流効率が70%程度と非常に高い値が報告されているが、本メタノール溶媒を用いた光電気化学的還元法では、水素の発生効率が20%以下であり、非常に水素発生が抑制される結果となった。p-InP電極における電位の影響では、電位を卑にするとCOと水素の電流効率が増加する傾向が得られた。また、ギ酸に関しては、電位を貴にすると増加する傾向が得られた。p-Si電極では、電位を貴にすると水素の電流効率が減少し、ギ酸の電流効率が増加する傾向が得られた。光還元電流は、-1.0V付近から流れ始めており、光を照射しない場合はほとんど還元電流は流れず、光エネルギーの利用が大きいことが示唆された。電解は50Cで行っており、電極の劣化や表面の悪化は特に観測することができなかった。これは、メタノール溶媒中では炭素に起因する不純物が電極表面に付着しにくいことが考えられ、メタノール溶媒中では、通常の水溶液中でおこる電極劣化が起こりにくく、実際の工業プラントへの応用が水溶液中より行いやすいこと考えられた。電流密度は数mA程度であり、実際の産業化に向けて反応速度の向上が今後の課題として挙げられた。

研究成果

• [文献書誌] S.Kaneco,S.Suzuki,S.Itoh,T.Suzuki and K.Ohta: "Voltammetry of Carbon Dioxide at Copper Electrode in Methanol in the Presence of Ultrasonic Waves."ITE Letters Batteries, New Technologies & Medicine. 1(1). 147-150 (2000)
• [文献書誌] S.Kaneco,K.Iiba,K.Ohta and T.Mizuno: "Electrochemical Reduction of Carbon Dioxide to Petrochemical Intermediates."Energy Sources. 22. 127-135 (2000)
• [文献書誌] K.Ohta,T.Kakuta,S.Kaneco and T.Mizuno: "Electrochemical Reduction of CO2 in Methanol + Water under Ultrasonic Irradiation."196^<th> Meeting of The Electrochemical Society, Electrochemical Society Proceedings. 99-39. 183-188 (2000)
• [文献書誌] K.Ohta,K.Suda,S.Kaneco and T.Mizuno: "Electrochemical Reduction of Carbon Dioxide at Cu Electrode under Ultrasonic Irradiation"Journal of Electrochemical Society. 147(1). 233-237 (2000)
• [文献書誌] S.Kaneco,N.Hiei,S.Itoh,T.suzuki,and K.Ohta: "Electrochemical Reduction of Carbon Dixodie using Aqueous LiCIO4 solution at Less than 273 K"ITE Letters Batteries, New Technologies & Medicine. (In press).
• [文献書誌] S.Kaneco,S.Suzuki,S.Itoh,T.Suzuki and K.Ohta: "Sonoelectrochemical Reduction of CO2 at a Copper Electrode in CsOH/Methanol-based Electrolyte."Recent Research Developments in Electro Analytical Chemistry. (In press).