高度に規則化されたナノサイズの細孔からなるメソポーラスシリカMCM-41を金属電極上に修飾し、電極反応に応用することを試みた。MCM-41の電極への修飾は、(1)キャスト、(2)電気泳動析出、(3)導電性高分子との複合化、によって行った。得られたMCM-41修飾電極における細孔内電気化学プロセスを鉄ビピリジン錯体(Fe(bpy)_3^<3+>)、フェリシアン錯体(Fe(CN)_6^<3->、銀イオン等をプローブイオンとして考察した。 キャストあるいは電気泳動析出法により調製したMCM-41修飾電極上でのFe(bpy)_3^<3+>の電流応答は未修飾電極のそれに比べてはるかに大きくなった。これはMCM-41の細孔が負に帯電しており陽イオンを濃縮すること、修飾後もその構造を維持していることを示している。また、電気泳動析出法により調製した電極の方が陽イオンに対する濃縮効果が大きく、MCM-41粒子を電極上に密に堆積できることが分った。一方、MCM-41を分散した液中でピロールモノマーを電解酸化することによりMCM-41粒子層が電極上に析出した。ここでMCM-41の細孔内負電荷が電析するポリピロール(PPy)カチオンのドーパントとして働くと考えられる。細孔内のPPyの充填率はモノマー濃度により変化した。充填率が低い電極はFe(CN)_6^<3->を排除した。一方、充填率が高い、すなわちMCM-41の負電荷の多くがPPyによって電気的に中和されている電極は純粋なPPyと同等の電気化学応答を示した。
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