研究概要 |
本研究では磁性イオン添加した希釈磁性半導体を数+Åまで小さくした希釈磁性半導体超微粒子を調整した。作成した超微粒子を分子組織化した膜に担持させた修飾電極を作成した。希釈磁性半導体超微粒子修飾電極の光電変換機能に対する磁場の影響を観察し、磁気ポーラロン効果と量子サイズ効果を活用した優れた磁気特性を持つ光機能素子を開発することを目的とした。本年度は以下の研究を行った。 1.すでに、磁場効果を報告しているCdS超微粒子と同様にAOT逆ミセルを用いてII-VI族半導体のカチオンの部分をMn,2価の磁性イオンに置換した混晶、すなわち希釈磁性半導体(Cd_<1-X>Mn_XS)を超微粒子化した。Cd_<1-X>Mn_XS超微粒子を金電極にSAMを利用して固定化し、修飾電極を作成した。トリエタノールアミンを添加し、光照射するとアノード方向に光電流が観測された。修飾電極のアクションスペクトルとCd_<1-X>Mn_XS超微粒子の吸収スペクトルが一致した。従って、光電流はCd_<1-X>Mn_XS超微粒子の光励起により起こっている事がわかった。Cd_<1-X>Mn_XS(X=0.2)の修飾電極では磁場(0.7T)の印加すると光電流の減少(8.0%)が観測された。この磁場効果はCdS超微粒子の場合(3.0%)より大きくなった。また、超微粒子Cd_<1-X>Mn_XSではないを修飾した電極では磁場効果は観測されなかった。従って、電子の閉じ込め効果と伝導電子(バンド電子)と含有する磁性イオンとの磁気的な相互作用(磁気ポーラロン効果)によってCd_<1-X>Mn_XS超微粒子修飾電極における磁場効果が増大したと考えられる。 2.磁場効果は電子-正孔対(エキシトン)における一重項-三重項変換が磁場によって抑制されるために起こると考えられた。また、超微粒子化の効果はエキシトンの閉じ込め効果によって発現していると考えられた。さらに、磁性イオンは磁場の影響を受ける三重項エキシトンの生成を促進しているため、磁場効果が増大したと考えられる。
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