Cd_<1-X>MnxS、Zn_<1-X>MnxSなどの粒径を数十Åまで小さくした希釈磁性(半磁性)半導体ナノ粒子を自己組織化膜(SAM)によってナノ粒子を組織化した薄膜について、光電変換機能や発光特性の磁場効果の測定を行った。これにより、磁気ポーラロン効果と量子サイズ効果を活用した優れた磁気特性を持つ光機能素子を開発する事を目的とした。 平成12年度はCd_<1-X>MnxSナノ粒子について研究を行った。AOT逆ミセル法でナノ粒子を作成した。このナノ粒子を金電極にSAMを利用して固定化し、修飾電極を作成した。トリェタノールアミンを添加し、光照射するとアノード方向に光電流が観測された。修飾電極のアクションペペクトルとCd_<1-X>MnxSナノ粒子の吸収スペクトルが一致した。従って、光電流はCd_<1-X>MnxSナノ粒子の光励起により起こっている事がわかった。Cd_<1-X>MnxS(X=0.2)ナノ粒子修飾電極では磁場(0.7T)の印加すると光電流の減少(8.0%)が観測された。この磁場効果はCdSナノ粒子の場合(3.0%)より大きくなった。ここで、ナノ粒子ではないCd_<1-X>Mn_xS電極では磁場効果は観測されなかった。従って、磁気ポーラロン効果によってCd_<1-X>MnxSナノ粒子修飾電極における磁場効果が増大したと考えられる。 平成13年度はZN_<1-X>MnxSナノ粒子について研究を行った。上記と同様にAOT逆ミセル法でナノ粒子を作成した。このナノ粒子を金電極にSAMを利用して固定化し薄膜を作成した。薄膜のZnS部分を紫外光励起すると、590nm付近にZnSマトリックスに散在するMn^<2+>に帰属される発光が観測された。これより、ZnSからMn^<2+>ヘエネルギー移動が明らかになった。また、Mn^<2+>発光強度はAOT逆ミセル法におけるW値やX値によって変化した。今後、Mn^<2+>発光に対する磁場効果についても行った。
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