研究概要 |
本研究は,気水界面でのゾルーゲル反応とLangmuir-Blodgett(LB)法を組み合わせた新しい酸化物超薄膜作製法"二次元ゾルーゲル法"を用いて種々の金属酸化物超薄膜を作製し,さらに得られる薄膜の光・電気化学的特性を解明することを目的としている。今年度は,TiO_2,ZrO_2,Nb_2O_5超薄膜の二次元ゾルーゲル合成とTiO_2超薄膜の光電変換特性について検討を行った。以下に,研究成果の概要を示す. 1.オクタデシルアセトアセテート(C_<18>AA)を安定化剤として添加した金属アルコキシド溶液を出発溶液として,膜厚が数十から数百ÅのTiO_2,ZrO_2,Nb_2O_5超薄膜が得られた。 2.表面圧-面積曲線,in-situ UV-Visスペクトル測定より,二次元圧縮に伴い水面上でゲル超薄膜が形成されるが,金属アルコキシド/C_<18>AAの比が3のときが,均一なゲル連続薄層形成の最適条件であることがわかった。 3.水面上に形成させたゲル超薄膜を基板上にヘテロ累積することにより,各層が百Åの膜厚からなる(TiO_2/ZrO_2)_nヘテロ積層薄膜を作製することにも成功した。 4.入射角依存反射率測定より求めた金属酸化物超薄膜の屈折率はバルク酸化物と同程度の値であり,二次元ゾルーゲル法により高密度の金属酸化物超薄膜が作製できることが明らかになった。 5.二次元ゾルーゲル法で作製したTiO_2超薄膜について紫外光照射による光電流の発生が認められ,その光電流の値は,膜厚にほぼ比例して増加した。
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