研究概要 |
本研究は,気水界面でのゾルーゲル反応とLangmuir-Blodgett(LB)法を組み合わせた新しい酸化物超薄膜作製法"二次元ゾルーゲル法"を用いて種々の金属酸化物超薄膜を作製し,さらに得られる薄膜の光・電気化学的特性を解明することを目的としている。昨年度までの研究において,二次元ゾルーゲル法によりTiO_2,ZrO_2,Nb_2O_5超薄膜,(TiO_2/ZrO_2)_nヘテロ積層薄膜が作製できることを明らかにしている。今年度は,得られたゲルおよびTiO_2超薄膜の構造,光・電気化学物性について調べた。以下に,主な研究成果を示す. 1.入射角依存反射率測定より,得られたTiO_2超薄膜の屈折率は2.1であり,TiO_2結晶部分が占める体積充填率は単結晶薄膜を仮定したときの80〜90%程度と見積もられ,本系では非常に高密度のTiO_2超薄膜が形成されていることが明らかとなった。 2.水面上ゲル薄膜についてもin situで入射角依存反射率測定を行い,安定化剤としてn-オクタデシルアセトアセテート(C_<18>AA)を加えたテトラブトキシチタン溶液を展開し,二次元圧縮すると,C_<18>AA単分子膜の水相側界面にTiO_2ゲル連続層が形成されていることが示唆された。 3.二次元ゾルーゲル法で作製した100nm以下の膜厚のTiO_2超薄膜に紫外光を照射すると,膜厚に比例した光電流の発生が認められ,その量子効率は一般にゾルーゲル法で得られる厚膜の値より大きなものであった。
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