脂質修飾酵素を用いる超臨界流体中での酵素反応

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12750757
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 森 俊明 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (50262308)
• キーワード: 脂質修飾酵素 / 超臨界二酸化炭素 / 糖転移反応 / リパーゼ / βガラクトシダーゼ

研究概要

本研究は、脂質修飾糖加水分解酵素を用いて炭酸超臨界流体中での位置選択的グリコシド転移反応を行うことを目的として行い、以下の成果を得た。
圧力と温度を変えることにより超臨界流体の密度と極性が自由に制御できるので、種々の反応条件下で酵素反応速度を検討したところ、酵素を失活させることなく反応性を自在にコントロールすることができた。
受容体としてのアルコール分子(R-OH)を変えて様々な有用配糖化合物を合成した。
リパーゼによるエステルの加水分解反応において、超臨界流体は水とミクロエマルジョンを形成することから、従来の含水有機溶媒系よりも加速効果が認められた。
また、糖加水分解酵素であるβ-ガラクトシターゼを脂質で修飾し超臨界流体中でさまざまなアルコール分子へのガラクトース基の転移反応を行った。超臨界流体では、圧力や温度を変化させることにより媒体の物性(密度や極性)をかなり自由に変化することができた。
配糖化反応は、難水溶性の薬物に水溶性や対生分解性を与えたりすることができる反応として有用であった。

研究成果

• [文献書誌] T.Mori,S.Fukusho,J.Kojima,and Y.Okahata: "Design of Two Dimensional Glycolipid Membranes and their Functions"Precision Polymers and Nano-Organized Systems. 317-320 (2000)
• [文献書誌] T.Mori,M.Naito,Y.Irimoto,and Y.Okahata: "Nucleobase Molecular Recognition in Supercritical Carbon Dioxide by using a Highly Sensitive 27 MHz Quart-Crystal Microbalance"Chem.Commun.. 45-46 (2000)
• [文献書誌] Toshiaki Mori and Yoshio Okahata: "Preparation of a lipid-coated enzyme and activity for reverse hydrolysis reactions in homogeneous organic media"Enzymes in non-aqueous Media. 240-249 (2000)
• [文献書誌] Toshiaki Mori,Shintaro Kishimoto,Kuniharu Ijiro,Atsushi Kobayashi,and Yoshio Okahata: "A Lipid-coated Lipase as an Effective Hydrolytic catalyst in the Two-phase Aqueous-Organic System"Biotech.Bioeng.. 54. 350-358 (2000)
• [文献書誌] 森俊明,岡畑恵雄: "超臨界流体を反応媒体とした酵素触媒反応"ジャスコ・レポート. 4. 36-40 (2000)
• [文献書誌] 森俊明,岡畑恵雄: "生体触媒を使いこなす(5)-超臨界流体中での生体触媒反応"現代化学. 353. 60-66 (2000)