π電子過剰であるフラン環あるいはフラン環よりもπ電子が欠如しているベンゼン環をアゾメチンあるいはビニレン基でp-フェニレンに連結した二分子の共役ゲスト分子とシクロデキストリン(CD)を溶媒中で撹拌することにより、CD内で芳香族環どうしのπ-π相互作用、静電的相互作用が発現して、共役ゲスト分子がCD中に包接したロタキサン型の共役高分子を得ることができた。これらは粉末X線回折、^1H NMR測定により、ロタキサン構造を有していることを確認した。また、時間飛行型質量分析から高分子となっていることを確認し、固有粘度は0.1gdL^<-1>であった。紫外可視スペクトルにおいては、ロタキサン型共役高分子の吸収端が対応するゲスト分子よりも長波長に観測されたことから、共役鎖長が主鎖方向に伸びていることを確認した。ベンゼン環に電子吸引性基であるシアノ基を導入したゲスト分子を用いて得られた共役高分子は無置換のゲスト分子から得られたものよりも吸収端が長波長に観測された。このことはシアノ基を導入することでベンゼン環のπ電子密度が減少し、よりフラン環との静電的相互作用が強く発現したためより高分子量化したことに基づく。また、水中で撹拌することにより得られた共役高分子は有機溶媒中で得られたものよりも長波長に最大吸収を示した。このことから共役分子がCDに包接するときのドライビングホースとして両分子の疎水的相互作用が大きく関与していることがわかった。一方、ビニレン基を含むゲスト分子とCDから得られた共役高分子においては、比較的高い蛍光の発光量子収率(約40%)を示したことから、この共役高分子のエレクトロルミネッセンス材料への応用が期待される。
|