13年度においても昨年度同様に、1.固相重合系を探索するための多数のモノマーの合成とその酸塩基反応による塩形成、と分子配列の検討、2.モノマーの固相光重合について検討した。 1.モノマーの合成および酸塩碁反応による塩形成とその結晶構造 種々のジエンモノマー、ジアセチレンモノマーを有するカルボン酸の合成を行った。これらをと1-ナフチルアミンを作用させ、塩を形成させた。塩の形成は核磁気共鳴や赤外吸収などで同定した。アミン成分は1-ナフチルアミンに固定して塩の合成を行った単結晶を作成し結晶構造解析を行った。その結果、いずれの塩も2次元に広がる水素結合ネットワークにより同じ集合体を形成していた。特に1-ナフチルアンモニウム基はいずれも同じヘリングボーン型の芳香環のスタックを形成していた。酸成分のアルキル鎖の鎖長によって層構造の面間隔が異なっているだけであった。この結果、1-ナフチルアンモニウムが硬い結晶構造を形成する特別な分子構造であることを明らかにすることができた。 2.光固相重合とモノマー分子配列の関係 光重合を検討したところ、ジエンおよびジアセチレン誘導体では重合が進行することがわかった。トリエン、ビニルモノマーでは重合が全く進行しない。これらのことから、1-ナフチルアンモニウム基はちょうどジエンおよびジアセチレンの重合に適したマトリックスを与えるアミンであることを明らかにした。これらの結果より、ジエンでの結晶重合での原理を明確にすることができただけではな<、結晶中での繰り返し単位の距離と重合によって得られる高分子の単位間の距離をそろえることで様々な結晶重合が可能になることを明らかにした。
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