研究概要 |
水などに分散されたコロイド粒子は条件が整うと規則的に配列し、コロイド結晶を発現する。コロイド結晶の発現には、粒子の周りの電気二重層が大きな役割を果たしている。この電気二重層は柔らかいため、外場の影響を受けて変形・破壊などが起こる。本研究ではコロイド結晶に対し、流動変形を与えると光学的特性にどのような影響を及ぼすか(レオオプティクス)について初めて系統的な検討を行った。粒径110±4.5nmのシリカ粒子(触媒化成工業(株),CS-91)を純水に分散させ、イオン交換樹脂で徹底的に脱塩したものを試料とした。粒子濃度は0.022から0.129(体積分率)である。UBM社製の二重円筒型回転レオメータ(Rheosol-G2000W-GF型)を用いた。また反射スペクトル測定は、マルチチャンネル分光測定装置(浜松ホトニクス,PMA-50)を用い、レオロジー測定と同時に行った。測定温度は室温(25℃)である。変形が小さい(γ<1)場合、応力は歪みの増加とともに直線的こ増加した。反射スペクトルはシングルピークが得られた。ピーク強度およびピーク波長は変化を示さなかった。変形が大きくなると、結晶が降伏挙動を示し、歪みに依らず応力は一定値を示した。またピーク強度および波長は歪みの増加と共に徐々に減少し、一定値に達した。γ<1においては結晶は僅かに歪むだけで、結晶構造が保持されていることを示している。一方、γ>1においては電気二重層が流動方向に歪むため、粒子間距離が小さくなる。また同時に結晶が部分的に融解しながら、結晶面の流動方向へのスライディングが発生していると考えられる。さらに、流動速度が大きくなると部分融解が進行し、結晶サイズが減少することが明らかになった。
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