研究概要 |
われわれはすでに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(AMPS)とN-ドデシルメタクリルアミド(DodMAm)との共重合体(poly(A/DodMAm(50)))とドデシルヘキサエチレングリコールモノエーテル(C_<12>E_6)を適当な条件下で混合すると、コアセルベーションがおこることを見出している。本年度は、poly(A/DodMAm(x))-C_<12>E_6コアセルベーションの機構を明らかにすることを目的として、コアセルベーションがおこる条件をプローブカロリメーターを用いて詳細に調べた。 NaCl濃度=0.3,0.4,0.6Mにおいて、poly(A/DodMAm(50))濃度、C_<12>E_6濃度に関してコアセルベーションがおこる条件を調べた結果、いずれのNaCl濃度においても、poly(A/DodMAm(50))とC_<12>E_6の濃度比が適当な場合にのみコアセルベーションがおこることが明らかとなった。ポリマー濃度をDodMAm濃度に変換し、C_<12>E_6との量的関係を調べると、両者の比が1:1を中心にコアセルベーション領域が分布していることがわかった。さらに、NaCl濃度が高いほど、コアセルベーションのおこる領域が大きいことも明らかとなった。 混合比が[DodMAm]:[C_<12>E_6]=1:1のときのpoly(A/DodMAm(50))-C_<12>E_6混合物の濃度とNaCl濃度に関してコアセルベーションが起こる条件を調べた結果、コアセルベーションに必要なNaCl濃度は、poly(A/Dod-MAm(50))-C_<12>E_6濃度が増加するとともに減少し、[DodMAm]>4mMで0.18Mで一定となることがわかった。この結果は、NaCl濃度がコアセルベーションに対して重要な要因の一つであり、0.18M以上のNaClがなければ25℃においてコアセルベーションがおこらないことを示す。 また、ドデシル基コンテントがより低いpoly(A/DodMAm(40))を用いてコアセルベーション条件を検討したところ、poly(A/DodMAm(50))の場合よりはるかに高いNaCl濃度でないと25℃においてコアセルベーションがおこらないことがわかった。この結果はpoly(A/DodMAm(x))中のドデシル基がコアセルベーションに対して重要であることをしめしている。 以上の結果から、poly(A/DodMAm(x))-C_<12>E_6コアセルベーションには、両者の濃度比と疎水基の導入率、NaCl濃度が重要であることが明らかとなった。
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