研究概要 |
平成12年度は,外界から対流熱伝達で冷却される液滴で発生するマランゴニ対流を解析するプログラムの開発を行い,マランゴニ数Maが5,000のケースについて計算を行った。計算プログラムの開発には,(1)現象および計算手法に適する基礎方程式の導出(5月2週〜6月2週),(2)基礎方程式の離散化(6月3,4週),(3)プログラミング(7月),(4)デバッグ(8月1週〜9月4週)を行った.計算プログラムは,北海道大学大型計算機センターの並列化スーパーコンピュータHITACHI SR8000の能力を十分生かすために,要素並列化,擬似ベクトル化,MPI通信機能を採用し,1タイムステップあたり0.50秒(従来のプログラムでは5.48秒)を実現した. Ma=5,000,Pr=1.0,Bi=1.0のケースについて計算を行った結果, 1.熱伝導のみで冷却された場合よりも表面張力対流の効果で内部の温度の高い流体が表面に運ばれるため,表面からの冷却が促進され,液滴全体が早く冷却されることがわかった. 2.初期温度分布パターンのまま冷却されるのではなく,時刻とともに温度分布パターンが変化することがわかった. 来年度は,マランゴニ数Ma,プラントル数Pr,ビオ数Biが現象に及ぼす効果を調べるとともに,温度境界条件をふく射熱伝達に変えたプログラムを作成し,ふく射熱伝達による冷却によって発生する液滴内のマランゴニ対流の流動特性,伝熱特性を明らかにする。
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