以前の研究において、メタンおよび水素を燃料とした噴流拡散火炎に対して側方から単一周波数の音波を入射した場合、特定のレイノルズ数-ストローハル数領域で噴流および火炎の変形が観測された。今回の研究では、燃料の違いによりこの音波入射による現象がどのように変化するかを調べるため、以前おこなった実験とは異なる、空気より重い燃料であるプロパンを用いて、噴流に側方から音波入射をおこなった際、燃料と周囲空気の混合や噴流拡散火炎の燃焼状態がどのように変化するかを調べた。 平板にとりつけた管径1.5mmの、助走距離が十分に長い円管から静止空気中にプロパンを噴出して噴流拡散火炎を形成し、直径100mmのスピーカーから110dBの音圧で単一周波数の音波を噴流に対して側方から入射し、目視観察およびシャドウグラフ法を用いて噴流および火炎の変形を観察した。その結果、プロパン噴流拡散火炎に対しても、特定のレイノルズ数-ストローハル領域において層流拡散火炎から乱流拡散火炎に遷移する噴流流速が低速へ移行し、同時に火炎の短炎化、火炎幅が音波の入射方向に広がるといった現象が観測された。また、非燃焼噴流においては、特定のレイノルズ数-ストローハル数領域において噴流の分岐が観測された。ただし、この噴流分岐が観測されるレイノルズ数-ストローハル数は燃料の種類によって異なり、噴流不安定性の成長に依存性が存在することが今回明らかとなった。
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