平成12年度は、まず現有の計算コードを、「防波堤の影響と超大型浮体式構造物の弾性応答を一度に解くことの出来るコード」および「大型浮体局部の剛性変化に対応できる計算コード」へと拡張した。その計算コードに基づく数値解析を行い、超大型浮体式構造物の弾性応答の低減に関して、種々の検討を行った。その結果、大型浮体の辺部に相対的に柔軟な構造物を取り付けることによって、応答を半分程度以下に抑制することが可能であることを示した。また、防波堤の影響に関しても、設置距離等に関して検討を加えた。 一方、12年度より交付された科学技術研究費にて長さ4m×幅2m×型深さ10cm(水深は5cm程度)の小型の水理水槽を製作した。水槽の造波性能は周期0.1秒〜数秒が可能なフラップ式のものであり、これまでのこの分野の水槽としては、画期的に造波周期が短い。これにより、従来の超大型浮体式構造物に関する水槽実験が、既存の水槽の造波周期限界(0.5秒以上)と、実海域に於ける波浪の相似則維持の観点から、縮尺模型が数十分の1と(数十mの模型)巨大化し、大がかりなものにならざるを得なかったのに対し、概ね1000分の1程度の小型模型で、波浪の相似関係を満足できる点が特徴である。また、水槽全体を小型化することにより、構造物周辺の波浪場、また構造物そのものの全体挙動などの全体像を視覚的に捉えることが可能となる。 この波浪場などの全体像を広域的にかつ視覚的に捉え、さらに定性的・定量的に評価できることを目標に、モアレ縞を用いた光学的な計測手法について検討を加えた。その結果、定性的な評価は可能だが、より定量的な評価に耐え得るような改良点も見出した。
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