熊本県小国地熱地域において、地熱発電所開発前の背景的な重力変動及び地殻変動をの把握する事を目的として観測を行った。重力変動及びGPS観測点としては、1979年〜1986年までにNEDOによって行われた「大規模深部地熱発電所環境保全実証調査」の重力変動観測点としてして使用された観測点のうち重力40点、GPS11点を使用した。水準観測点として8点を設置した。重力変動観測点及びGPS観測点は地下流体の生産・還元地域を含むやや広範囲の地域に設置し、水準観測点は、地下流体の生産・還元地域を中心に設置した。 本地域では、1993年より重力変動観測を開始しており、今年度の観測結果とこれまでの観測結果の比較を行った。この結果、本地域全域において長期的な減少傾向は変わっておらず、重力変動量の空間分布を見ると涌蓋山から北西山麓へ延びるものと涌蓋山から山川温泉を通り西側へ延びる2つの方向性が見られた。このうち涌蓋山から北西山麓へ延びる方向性は本地域に存在すると考えられている岳の湯断層にほぼ一致していることからこの断層中を通る地下水又は断層の地殻変動を捉えていることが考えられる。 GPS及び水準測量については、まだ観測を開始して間もないため明確な傾向は見えないが今後観測を継続することによって背景的な地殻変動の傾向が見えてくるのではないかと考えられる。
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