CMS遺伝子の生化学的特徴付け 1.野生ビート由来不稔細胞質のCMS原因候補遺伝子であるorf129翻訳産物の多量体形成能を調査した。その結果、pull-down assayと化学架橋のいずれにおいても、多量体形成能を保持することが分かった。多量体の分子量は単量体の3〜4倍であった。 2.Owen型雄性不稔細胞質のCMS原因候補遺伝子であるatp6プレシーケンス(_<pre>atp6)由来翻訳産物の多量体形成能を調査した。その結果、pull-down assayと化学架橋のいずれにおいても、多量体形成能を保持することを示唆するデータは得られなかった。 雄性不稔性発現モデル植物 1.ピルビン酸脱水素酵素E1αサブユニット遺伝子をタベート細胞特異的にアンチセンス阻害したタバコを作成した。このタバコは花粉稔性が減少する半不稔を示した。アンチセンス植物のタベート細胞は、減数分裂終了後に正常株に遅れて肥大を開始し、液胞化や核の変形といった異常を呈することが分かった。タベート細胞内のオルガネラに関して、ミトコンドリアの発達不良、orbicule、tapetosomeあるいはelaioplastの減少が観察された。 稔性回復遺伝子 1.稔性回復遺伝子のひとつであるX遺伝子に連鎖するAFLPマーカーを新たに2個得ることが出来た。 2.テンサイBACライブラリーを作成した。 テンサイ葯で発現する遺伝子 1.テンサイ葯よりRNAを抽出し、cDNAライブラリーを作成した。これよりランダムに200クローンを選び出し塩基配列分析を行ったところ、新規遺伝子と思われる配列が60%程度含まれていた。 2.ランダムに選び出したクローンをプローブに用いて、テンサイ正常株、CMS株および稔性回復株の花芽RNAに対してノーザンプロット解析を行った。その結果、CMS株でのみ発現が認められないクローンが見つかった。
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