研究概要 |
エチレン非感受性であるグラジオラス小花に,シクロヘキシミド(CHI),トレハロースおよびスクロース処理を行った。開花後処理した小花は、対照区では平均2日でしおれ始めるのに対してCHI処理すると、日持ちが延長され,新鮮重の低下は有意に緩和された.トレハロース処理花は1日間程日持ちが延長されたが,対照区と同様に新鮮重の低下を示した.切り花(穂状花序)全体への処理において,スクロース連続処理の場合は開花数と小花のサイズを向上させたが,基部側からの枯れ上がりは顕著となった.また,トレハロース連続処理は老化を抑制するものの開花も抑制する傾向にあった.これらの結果を踏まえ,0.4Mスクロース前処理(24h)で開花を促進し,0.1Mトレハロース連続処理で老化を抑制したところ,1週間程度まで観賞価値を保つことが出来た.この方法はトレハロースの価格が下がれば,実用化の余地があると考えられる. 小花のRNA抽出について,改良型Hot-borate法で抽出したところ,新鮮重1gあたり約100μg以上の純度の高いRNAを抽出できるように改善された.開花前,開花直後,開花1日後及び2日後の各処理におけるmRNAを精製して,cDNAを合成し,各種プライマーでPCRを行い,特異的に発現する遺伝子について検討した.RNAmap kitのAp8とM13primerM4をプライマーに用いたとき,1800bp付近にCHIのみ見られる断片を確認した。CHIにより老化が抑制されることから,この1800bp遺伝子断片の蓄積は、小花の老化に何らかの関係があることが予想される。対照区の2日後で見られた900bp付近の遺伝子断片も老化促進に働いている可能性がある.
|