研究概要 |
平成12年度は,以下の3項目の内容で研究を行い,それぞれの結果が得られた. 1.カリフラワー花蕾培養法および植物体再生系の確立 カリフラワーの花芽を使用して、花蕾培養培地および再分化培地の培地組成と生長調節物質の添加量等の検討を行った.培地内の糖濃度や花蕾の生長段階の差異に関わらず,100%の再分化率でシュートが形成された.シュートをNAA 0.1mg/lを添加した培地に移植することで,78%の発根率を得ることができ,発根した植物体は90%の順化率で順化することができた.カリフラワーの再分化植物体を獲得するにおいて,花蕾球を用いた再分化系はカルスを用いた再分化系と比較して再分化効率が高いと考察された. 2.カリフラワー形質転換系の検討 アグロバクテリウムを用いてカリフラワーの花蕾から直接感染させたが,形質転換されていると観察されるシュートは存在しなかった.感染させた花蕾からのシュート再分化率に影響を及ぼす要因としては,選抜用の抗生物質,感染方法,アグロバクテリウムの系統,感染時のアグロバクテリウム懸濁液が考えられた. 3.ウラギクの全長のsamip遺伝子のスクリーニング 既存のsamip-PCR断片をプローブとして、プラークハイブリダイゼーション法によりスクリーニングおよびクローニングを行った.その結果,samipAおよびsamipB遺伝子の全長の塩基配列が明らかになった.遺伝子配列から推定されるアミノ酸数は,SAMIPAが251残基,SAMIPBが252残基であった.リン酸化を受ける部位の推定配列から,セリンを持つSAMIPAは液胞膜存在型,スレオニンを持つSAMIPBは原形質膜存在型であると考えられた.
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