研究概要 |
これまで除草剤耐性や殺虫性タンパク質発現植物などが実用化されているが、ウイルス耐性植物については、ある種の耐性遺伝子を導入しても限定されたウイルスにしか耐性を生じず、実用化に課題が残されていた。従来、耐性植物はウイルスの外被タンパク質遺伝子や複製酵素遺伝子等の導入によって作出されており、またウイルスの干渉現象のメカニズムに迫る知見として、「脱外被阻止」や「ジーンサイレンシング」など耐性メカニズムに関わる種々の重要な現象が発見されている。そこで本研究では、ウイルス耐性組換え植物における宿主因子の解明をめざし、基礎的な知見を蓄積することを目的としている。特に植物ウイルス中最大であり、非常に深刻な被害をもたらすpotyvirusは、その外被タンパク質遺伝子の導入によって「広域抵抗性」を示す組換え植物が当研究室において作出されており、非常の多くの植物ウイルス種を用いて宿主因子の遺伝子発現をモニターできる。 平成12年度は、組換え植物育成温室において当研究室の耐性組換え植物を育成し、ウイルス接種試験を行った。平成13年度では、当研究室において保存されていた種々の植物ウイルス分離株を維持継代したところ、後代に変異が確認されるケースも存在した。そこで、戻し接種による後代の塩基配列を確認した。また、核移行シグナルを持つpotyvirusの細胞質封入体(NIa, NIb)と宿主因子との相互作用の可能性を探るため、two-hybrid法の導入を目指し、酵母L40株の維持継代やbait, prayのコンストラクトの構築、およびスクリーニングを行った。
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