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2000 年度 実績報告書

A-ファクター依存性転写活性化因子による放線菌の形態分化・二次代謝の制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 12760047
研究機関東京大学

研究代表者

大西 康夫  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90292789)

キーワードA-ファクター / 放線菌 / 形態分化 / 二次代謝 / Streptomyces griseus / 転写因子 / DNA結合蛋白 / ゲルシフトPCR
研究概要

放線菌S.griseusの形態分化と二次代謝は、自身の生産する低分子調節物質、A-factorにより制御されている。A-factorはその特異的レセプターArpAを介してadpA遺伝子の転写を促進し、AdpAがストレプトマイシン生合成遺伝子群の制御遺伝子strRの転写を活性化することで、ストレプトマイシン生合成の引き金を引く。一方、adpA遺伝子破壊株はストレプトマイシン生産能のみでなく形態分化や黄色色素生産能をも失っていたことから、形態分化や他の二次代謝産物生産に関与する未知の遺伝子がAdpAの制御下にあると考えられた。そこでAdpAのターゲット遺伝子の取得を試みた。S.griseus野生株の染色体DNAをHaeIII部分分解により300-500bp程度に断片化し、PCR用のリンカーを付加した。大腸菌で発現、精製したAdpAとこのDNA断片を反応させ、ポリアクリルアミド電気泳動を行い、AdpA-DNA複合体をフリーのDNAと分離した。AdpAと結合したDNAをゲルから抽出し、PCRで増幅した。この一連の操作を数回繰り返す"ゲルシフト-PCR法"によってAdpAの標的遺伝子を複数取得した。そのうち最も高頻度に取得されたDNA断片は、AdpA結合領域下流にECFファミリーのRNAポリメラーゼシグマ因子(シグマAdsAと命名)がコードされていた。この遺伝子の転写は予想通りAdpAにより活性化されていることが示された。また、この遺伝子の破壊株では、ストレプトマイシンや黄色色素生産といった二次代謝は正常であったが気中菌糸形成が起こらないことが明らかになった。以上のように、"ゲルシフト-PCR法"によってA-factor、AdpA依存的に発現する気中菌糸形成に必須なRNAポリメラーゼシグマ因子を同定し、A-factorシグナル伝達経路がAdpAを起点に複数に分岐することを証明した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Ohnishi Y.,Nishiyama Y.,Sato R.,Kameyama S.,Horinouchi S.: "An oligoribonuclease gene in Streptomyces griseus."Journal of Bacteriology. 182(16). 4647-4653 (2000)

  • [文献書誌] Yamazaki H.,Ohnishi Y.,Horinouchi S.: "An A-factor-dependent extracytoplasmic function sigma factor (σ^<∧ds∧>) that is essential development in Streptomyces griseus."Journal of Bacteriology. 182(16). 4596-4605 (2000)

  • [文献書誌] Horinouchi S.,Onaka H.,Yamazaki H.,Kameyama S.,Ohnishi Y.: "Isolation of DNA fragments bound by transcriptional factors, AdpA and ArpA, in the A-factor regulatory cascade"Actinomycetologica. 14(2). (2000)

  • [文献書誌] Horinouchi S.,Ohnishi Y.Kang D.-K.: "The A-factor regulatory cascade and cAMP in the regulation of physiological and morphological development in Streptomyces griseus"J.Ind.Microbiol.Biotechnol.. 25(6). (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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