研究概要 |
スタウロスポリンの遺伝子を直接クローニングすることは困難であることが予想されたため、今年度はスタウロスポリンと同様の骨格を持つレベッカマイシンの生合成に関する研究を行った。スタウロスポリンをはじめとして、レベッカマイシンなどはインドロカルバゾール化合物に属し、プロテインカイネース阻害やトポイソメラーゼ活性阻害を持つ化合物が多数報告されている。遺伝子工学的に新規インドロカルバゾール誘導体を生合成する事を目的に、レベッカマイシン生産菌を用いてレベッカマイシン生産菌、Saccarothrix aerocolonigenes ATCC39243の遺伝子破壊株の作成法の確立及びその手法を用いて、レベッカマイシンアグリコンの生産株を作成した。接合性大腸菌Escherichia coli S-17株誘導体を用いて、S.aerocolonigenes内では自律複製しないプラスミドを導入し、一回交差の相同性組み替えを起こすことによりNGT(N-glycosyl transferase)遺伝子破壊株を作成した。作成した破壊株の生産培地中にはレベッカマイシンアグリコンの生産が確認された。また、ngt遺伝子の染色体上の上流にはngtと転写方向が反対向きに2つのorf(rebA,rebB)が存在し、rebAはL-aminoacid oxidaseと、rebBはviolacein生合成酵素の一つであるvioBとホモロジーのある遺伝子であった。rebB破壊株を作成したところrebeccamycinの生産能が失われた。rebBはスタウロスポリン生産菌においても相同性遺伝子が存在した。これらのことより、ngt周辺の領域はレベッカマイシン生合成遺伝子クラスターであることが強く示唆された。
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