研究概要 |
スタウロスポリンの遺伝子を直接クローニングすることは困難であることが予想されたために、今年度も前年度に引き続きレベッカマイシンの生合成に関する研究を行った。レペッカマイシン(Rm)はスタウロスポリンと同様にインドロカルバゾール(IC)骨格を持つ化合物でDNA topoisomeraseIの特異的阻害剤である。IC化合物の生合成についてはトリプトファン(trp)2個が前駆体であることが明らかになっているが、その生合成過程は未知である。前年度においてRm生合成遺伝子のクローニングについて報告したが、今年度はその全生合成経路について推定できた。Rm生合成遺伝子が存在すると思われるコスミドクローン、pREBCN5をRm生産菌、Lechevalieria aerocolonigenesATCC39243よりクローニングした。この内のPstI-BamHI15.5kbの塩基配列を決定した結果、10個のorf, reb clusterの存在を確認した。rebB, C, D, E, H, ngtの遺伝子破壊株を作製し、その中間代謝物の同定を行い、その結果を基にRm生合成経路を推定した。今回の結果より導かれた生合成経路は、trp2分子がクロル化後、酸化により生じた1分子のα-ケト酸がもう1分子と脱水縮合して環化した3,4-di-(3-(8-chloroindolyl)-pyrrole 2,5-dicarboXylic acidが形成され、更にRebC, RebDによる変換反応の末にRmアグリコンが形成されるという経路である。また、得られた遺伝子情報を基に念願のスタウロスポリン生合成遺伝子のクローニングにも成功した。今回の結果よりスタウロスポリン生合成においてもアグリコン形成はレベッカマイシンとほぼ同じ経路で生合成されると予想される。
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