アサガオ種子で発現するα-アミラーゼ相同遺伝子(PnAmy1)のクローニングを完了し、大腸菌発現系を用いて調製したGSTとの融合タンパク質がアミラーゼの活性染色において陽性を示したことから、PnAmy1がα-アミラーゼをコードすることを確認した。また、PnAmy1の発現解析も行い、ジベレリン(GA)応答性の確認や時期特異性・部位特異性について明らかにした。特にGAに対する応答性の解析では、GA処理後1時間程度でも有意に応答が認められるが、さらに時間が経過して約6時間程度で最も明瞭な応答が確認された。サザン解析の結果、PnAmy1以外にもα-アミラーゼ相同遺伝子の存在が示唆されたが、前述のGST融合タンパク質を用いて調製した抗PnAmy1抗体の性状解析の中で、未熟種子可溶画分に対するイムノウェスタンで主要反応物がPnAmy1であり、それ以外に反応性を示す主要なタンパク質が含まれないことを確認したことを受けて計画どおりPnAmy1の免疫組織化学に取りかかった。非特異的な染色を軽減するため3種の対照区を設定し、それらとの比較からPnAmy1特異的染色部位を珠皮中に検出した。これはGAの局在部位と重複する上に、GAの局在が認められてから時期的に1〜2日遅れてPnAmy1の局在が確認されたことから、この場でGAが直接PnAmy1を誘導する可能性が濃厚となった。現在、in situ hybridizationを行ってPnAmy1発現部位に関する情報の解析を計画中であり、この発現誘導に関する両者の空間的関係を明らかにしたいと考えている。尚、得られた結果については早急に報文として発表できるようまとめている。
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