1.ハイブリドーマと融合パートナーの共培養の抗体産生増強効果に対する影響 融合パートナーからのサイトカインや細胞膜相互作用の関与を調べるために、抗体産生増強効果を示さないハイブリドーマHB4C5と抗体産生増強効果を示すハイブリドーマAE6やBD9の共通融合パートナーA_4H_<12>との共培養を行った。HB4C5細胞とA_4H_<12>細胞の比を変えて共培養を行ったが、レチノイン酸(RA)によるHB4C5細胞の顕著な抗体産生増強は確認されなかった。従って、融合パートナーからのサイトカインや細胞膜相互作用はRAによる抗体産生増強の主要な原因ではないと考えられた。 2.レチノイドXレセプター(RXR)-α遺伝子のクローニング 抗体産生増強効果の遺伝子的な要因を明らかにするために、HB4C5細胞でのみ発現が低かったRXR-α遺伝子の取得を試みた。比較的RXR-αの発現が高かったハイブリドーマBD9からRT-PCRによってRXR-αcDNAを特異的に増幅し、pCMV-ScriptPCR Cloning Kit(stratagene)を用いてクローニングを行った。その結果、これまで報告されている腎臓由来のものと100%同じ配列をもつcDNAクローンが得られた。今後、このcDNAクローンをHB4C5細胞に導入する予定である。 3.RAとフルクトースとの相乗効果 フルクトースはこれまでいくつかのハイブリドーマの抗体産生を増強することが報告されている。そこで、RAとの相乗効果を調べるために培地中の糖源をグルコースからフルクトースに置換し、ハイブリドーマAE6の培養を行った。しかし、AE6細胞はフルクトース培地では増殖能が著しく低下し、抗体産生も増強されなかった。一方、フルクトース培地へのRAの添加はAE6細胞の増殖能を回復させ、抗体産生増強をもたらした。結局、RAとフルクトースによる顕著な相乗効果は認められなかった。
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