研究概要 |
本研究の目的は,小流域内での樹木の地形的生育適地(空間分布)を,硝酸還元酵素活性の種間差と,地形および林齢によって異なる土壌中窒素の存在形態に注目して説明しようと試みることである。本年度行った内容は以下の通りである。 1 植生調査: 宮崎大学田野演習林内の70年生常緑広葉樹林分において尾根谷を含む斜面方向のプロットを設置した。24m*56mのプロット内の高さ2m以上の個体の位置,樹種および胸高直径と,そのなかの8m*48mのコアプロット内の約3000本の実生の位置,樹種,地際直径,高さおよび斜面傾斜角を測定した。 2 資源量の分布の把握 上記コアプロットを4m*4mのサブプロットに区切り,サブプロット毎の土壌水分状態と光環境を測定した。また微地形毎に気温と湿度を測定した。その結果,斜面の下の方ほど土壌湿っており,また気温が低かった。 3 土壌中窒素濃度および窒素無機化速度の測定: 上記プロット内で尾根から谷にいたる地形ごとの土壌中の全窒素,アンモニア態窒素および硝酸態窒素の濃度と窒素無機化速度を測定した。アンモニア態窒素および硝酸態窒素は斜面の微地形間で異なってはいなかった。 4 稚苗育成: 植生調査の結果で出現頻度の高かった主要構成樹種の種を採集し,鉢苗を育成する準備をした。
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