研究概要 |
屋久島におけるスギ人工林におけるシロアリ被害実態に関する基礎的研究を行うにあたり,シロアリ被害発生の実態と立木状態でのシロアリ被害非破壊調査手法の開発という2つの内容について明らかにすることを目的としていた。 1)シロアリ被害発生の実態:皆伐あるいは間伐が行われた林分で伐根を調査し,被害発生と樹齢,立地条件および生育状態との関係について検討した。平成12年9月に屋久島内鍋山国有林110林班ほ小班において現地調査を実施した。当該小班は1999年度に皆伐され,伐採面積は3.13ヘクタールである。伐採前は40年オビスギが植栽されていた。斜面方位は南であり,斜面傾斜は10-30度であった。伐採跡地内に4m幅の帯状調査プロットを設定し,伐根直径,シロアリ被害の有無(腐れの有無)を行った。また,隣接残存スギ林分調査として樹高・胸高直径・根元直径(0.2m)の測定も行った。その結果,伐根にシロアリ被害が認められたものは0.0%〜77.8%で,平均被害率は25.7%であった。被害発生は局所的な変動が大きく空間的に不均一であった。また,斜面形の特徴としては平斜面に多く発生する傾向があった。 2)立木状態でのシロアリ被害非破壊調査手法の開発:木質部に何らかの空洞を生じるシロアリ被害を,打撃音伝播の違いにより検出する方法を開発しようと試みた。打撃音周波数をFFTアナライザーで解析したが明確な傾向を得るには至っていない。丸太を横方向から打撃する場合は,どのような経路で振動波が伝わるか不明な点が多く,今後,サンプルを選定し直して,さらに実験を続ける予定で,成果がでしだい取りまとめる予定である。
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