これまでの研究では、植物の生体電位を、信頼性は高いもののサンプリング速度が低く、1点測定で、しかも高価なディジタルマルチメータによって測定を行っていた。しかし、複雑な樹木の生理現象解明には非常に不十分な状況であったために、平成12年度は、生体電位差測定システムに必要な増幅器の開発を試みるとともに、その性能について検討を行った。 開発したのは高インピーダンス対応の増幅器(4次ベッセル型低域フィルタ付増幅器を中心として)であり、高インピーダンス(10^<-15>Ω)、高サンプリング速度(1/100sec.)に対応し、入力波形の再現にも適したシステムを実現させた。さらに、開発した増幅器等に対応した計測プログラムを制作し、デスクトップ型PCと接続して測定することを可能とした。現在、購入した携帯型PC、多点入力が可能なA/D変換ボード、分析プログラミング開発ツールによって、携帯型の測定システムの開発を進める一方、樹木の生理現象の解明に向けた実験研究をすすめており、これまでよりも詳細な生体電位現象に関する基礎データを収集している。 なお、今年度の研究については、日本産業技術教育学会関東支部大会(平成12年11月)で口頭発表するとともに、日本木材学会全国大会(平成13年4月)で口頭発表する予定であることを付記する。
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