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2000 年度 実績報告書

貝による麻ひ性貝毒原因毒の蓄積・排出と毒結合タンパクの関係に関する組織学的検討

研究課題

研究課題/領域番号 12760132
研究機関北里大学

研究代表者

小池 一彦  北里大学, 水産学部, 講師 (30265722)

キーワード麻ひ性貝毒 / PSP / ホタテガイ / 毒結合タンパク / 免疫組織染色
研究概要

大船渡湾の定点にホタテガイを垂下し、Alexandrium tamarenseの出現時に麻ひ性貝毒(PSP)で高度に毒化した個体の中腸腺をアルデヒドで固定し、エタノール脱水、アクリル樹脂包埋後薄切切片を作製し、佐藤らが開発したサキシトキシン(STX)に対するウサギ抗体を反応させ、抗ウサギIgGヤギ抗体-金コロイド、銀増感をへて、PSPを可視化した。その結果、中腸腺毛嚢の酵素細胞と栄養細胞の間の結合組織および栄養細胞を囲む膜組織に抗STX抗体との強い発色が認められた。まずA.tamarenseが発生中に採取した個体では、抗体による発色は膜にのみ認められ、細胞質は全く染色されなかった。これに対し、中腸腺結合組織内や細管内に存在する白血球様細胞にも発色が認められたが、この場合は発色は細胞質内にのみ認められ、発色の度合いは前者の場合よりも強かった。毛嚢内腔や毛嚢壁上皮細胞には反応は見られなかった。
次に同じくPSP原因種であるA.catenellaが消失後1カ月たってから採取した個体を同様に観察した。この場合、結合組織および栄養細胞を囲む膜組織は同様に染色されたが、発色の度合いはA.tamarense発生中の個体に比べ若干弱いように思えた。またこの試料では白血球様細胞は染色されなかった。以上の結果はPSP原因プランクトンからの毒の供給が断たれると、組織に結合した毒も減少することを示唆する。毒化ホタテガイ中腸腺のタンパク画分をmercaptoethanolで処理するとSTXが遊離する。このことは毒がタンパクのシステイン残基のSH基と結合していることを示唆する。本研究の結果はこの事実に組織化学的な証拠を与えるもので、今後ホタテガイの毒化の過程および毒が貝から抜けてゆく過程におけるタンパクに結合した毒の組織内の変化を調べることにより、ホタテガイに取り込まれたPSPの代謝を明らかにすることができると考える。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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