スリランカで古くから行われてきた伝統的水利慣行が変容してゆくメカニズムを費用便益分析から解明することがこの研究の目的である。研究に先立ち、アジアの米の収穫制度変容に関する研究レビューを行い、スリランカ農村調査のための調査表を作成した。2000年8月にスリランカで事前調査を行い、調査表の修正および、調査予定地の事前視察を行った。2000年12月〜2001年1月にスリランカで120戸の農家調査を実施した。調査データは現在分析中であり、結果は得られていないが、現状で次の2点が指摘できる。第1に、灌漑ポンプ導入に係わる費用に対する便益は、当初考えられたものより低い結果が予想される。第2に、スリランカの水利慣行は、開発の歴史が古い小規模灌漑地域よりも、比較的開発の歴史が浅い大規模灌漑地域で大きく変化しているという実態が明らかとなった。こうした格差をもたらした両地域の経済要因を今後明らかにしてゆく必要がある。 研究はまだ分析途中であり、研究発表等は行っていない。平成13年度は分析結果の精緻化を測るためスリランカで補足調査を実施する予定である。
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