今年度は、コメ流通業者の輸入米の仕入・販売実態及び大手量販店の輸入米の販売実態について、首都圏・近畿圏の大消費地を中心に行った。その結果、以下のようなことが明らかになった。 食糧法制定後、既存の商社に加え、新規に卸売業者、小売業者、その他様々な業者が新たに「登録商社」として認可され、米の輸入業務に参入した。その結果、輸入商社数は20社(1994年度)から34社(95年度、うち10社はSBS取引のみ)に急増し、その後も増え続け、2000年4月には49社(うち21社はSBS取引のみ)になった。それらの業者の目的は輸入業者(売り手)がその輸入米を買い入れる予定の卸売業者(買い手)と連名で入札するSBSへの参加を主たる目的としていた。そのことにより、事実上の輸入-国内流通の一元化を実現し、輸入商社→卸売業者→量販店の輸入米流通ルートが形成された。 未だ、消費者段階で輸入米の購入が一般化しているわけではないが、一部の量販店では積極的に売り出しており、国産低価格米との競合が見受けられる。とりわけ、北海道・青森といった産地のコメがその影響を受け、価格が低迷している。一方で、輸入米も含めた低価格米と差別化した形で、ごく一部の高価格米の需要が確立されている。 消費者が直接購入する家庭用米よりも、外食産業・食品加工産業等の業務用米の方が輸入米の使用は一般化しており、一部の業者は外国で品質認証を受けた有機米を輸入して、主なメニューに使用している。こうした外食産業・食品加工産業等における輸入米の実態、流通ルートについては次年度の研究で明らかにする。
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