研究概要 |
本研究の目的は,森林が有するレクリエーション機能の価値評価をコンジョイント分析により行うことである.コンジョイント分析は,対象環境財を複数の属性により構成されるプロファイルで表現し,このプロファイルに対する選好をアンケート回答者に尋ねることで,効用関数を推定し,さらに価格属性との限界代替率から属性の価値を算出する手法である.ここで,このように算出される価値は属性の主効果のみであり,他属性との交互作用を計測することは出来ない.例えば,コンジョイント分析では,レストランや売店があることの価値は,キャンプ施設があるサイトでもないサイトでも同一となる.そこで,本年度は,交互作用の計測が可能となるように,コンジョイント分析にニューラルネットワークを組み込んだ手法の開発を目指した.ここで,コンジョイント分析のうち,質問形式が消費者の購買行動に近いといわれている選択型実験を用いた. 研究内容は次の通りである. 第1に,分析対象となるアンケートデータを収集した.大阪府民2194人にアンケートを郵送し,700人あまりから回答を得た.第2に,コンジョイント分析にニューラルネットワークを組み込んだ手法を開発した.第3に,収集データを用いて提案手法の実証分析を行い,相互作用の抽出が行えることが確認できた.また,実在のレクリーションサイトへの応用を行い,コンジョイント分析と比較して有効なマーケティング戦略が提案できることを示した. 今後の計画としては,さまざまな対象や異なった特性を持つデータに対して,提案手法の適用を行い,その信頼性の向上と有効性の検証を行う.また,ペアワイズ型などの他のコンジョイント分析や離散選択型トラベルコスト法への拡張を行う.
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