平成13年度(最終年度)に行った研究実績の概要は以下の通りである。 1:課題 本研究では北海道稲作地帯の農協を対象に農協の生産性変化を時系列的に計測し、さらに技術効率と技術変化を同時に分析することである。具体的な分析視点は以下の2点である。 (1)農協の生産性はどのような水準で変化してきたか。 (2)生産性の変化にはどのような要因が大きく影響しているか。 2.分析方法と分析対象 本研究では上記(1)を明らかにするためにMalmquist生産性指数を用いて農協の生産性変化を計測する.Malmquist生産性指数は距離関数を用いて考案されたもので生産性変化を技術効率変化と技術変化に分離できることから、(2)に関してはMalmquist生産性指数を技術効率変化指数と技術変化指数に分離し、どちらが生産性に大きく影響しているかを明らかにできる。分析期間は昭和57年度から平成3年度とする。データは当該年度の北海道『農業協同組合要覧』からピックアップした。 3.分析結果 分析から以下の点が明らかとなった。 (1)生産性は年平均1.3%の上昇である。 (2)技術効率変化は年平均1.0%の上昇で、技術変化は0.3%の上昇となり、相対的に技術進歩よりも技術効率の改善が生産性の向上に寄与している。 以上の研究成果は2002年度日本農業経済学会大会(平成14年3月31日に茨城大学農学部で開催)において「農協経営における総要素生産性、技術効率および技術変化の同時分析-北海道稲作地帯における総合農協を事例として-」の題名で個別報告を行うことになっている。
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