平成13年度はインドネシア・韓国の小集水域を対像に河畔林の河川水質への効果を定量化した。すなわち、畑地、森林、河畔林、畜産地域といった土地利用と地表水の物理的・化学的指標の比較である。特に、韓国のパドラング湖周辺の土地利用、河畔林の管理、またTotal Maximum Land Control(TMLC)を調査した。 水質測定は堀場製作所U-23を用い、測定項目は、水温、pH、溶存酸素(DO)、電気伝導度(EC)、全溶解量(TDS)、濁度、酸化還元電位(ORP)、硝酸態窒素、塩素イオンとした。それによると、各支川は、下流に行くにつれて硝酸や塩素の濃度が高まってくる。これは畑地帯での施肥および畜産によるものと推測される。しかしここに河畔林が存在すれば、水質の改善効果があり、硝酸イオンと塩素イオンの低滅が顕著であり、硝酸イオンについてはその差は19〜44%にも達していた。またこの効果は、勾配が緩い3次の支流で顕著であった。これはま地下水移動速度が遅いために、微生物の活性度の高い河畔林流域を長時間かけて通過することからと考えられる。また下流については、河畔林部分での低い水温から、日陰効果が大きく効いていると類推される。 以上の結果に基づき、農村土地利用における河畔林の位置づけを図式化した。すなわち、持続的な土地利用の社会経済的および環境学的評価を案出し、河畔林の設計や維持管理についての考察を行った。また、河畔林の保全により経済的便益も発生するし、美しい景観を、農業者・居住者そして来訪者にも提供することで、流域の環境的・経済的価値を高めることになる。
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