| 研究概要 |
本研究課題「地下ダム湖流動・環境問題に関する解析」では,当初の予定通り,本年度設備備品であるPC型ワークステーションを購入し,先ずそのPCに計算システム環境の構築を行った.また同時に,情報量統計学を援用した地盤統計学的分布推定手法の有用性を確認する作業を行った.解析対象の実地盤は沖縄県宮古島の砂川地下水盆とし,貯留域の推定も考慮した広域不圧地下水の空間分布推定を行うこととした.その推定に必要である資料として,様々な研究機関から研究対象の気象データ.地質データ,水位観測データといった情報を収集してきた.解析領域の有限要素網は,平成9〜10年度奨励研究(A)課題番号09760220によって構築した領域分布推定システム装置によって,要素・節点座標データ作成,不透水性基盤高分布の推定を行った.その後,1993年10月22日における地下水位分布を対象として考察した.地下水流動を地盤統計学的アプローチのKrigingによって表現できるシステムの正確さを一層発展させるため,CokrigingやSimplifying Cokrigingを導入し,その推定の特徴や推定効果の程を計るべく,観測条件を変化させて本手法の基礎的考察を行った.その結果,FEMのように大がかりな準備や多くの手間をかけることもなく,不良な観測条件下であっても,かなり高い推定精度を有した地下水位分布の推定結果が得られることを示せた.
併せて,鉛直断面における地下ダム湖の水質解析に関しても,新しい観点として断面二次元でありながらも擬似三次元流動を考慮できるモデルを提案して,環境問題の初歩的な事柄を検討した.
以上の成果を踏まえ,次年度では,地下ダム湖の諸問題に対して本年度確立された手法を応用した解析を行い,環境問題も絡めて地下ダム湖の地下水流況を容易に把握できるシステムを構築する予定である.
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