水田からの肥料成分流出量の複数年にわたる経時的変化と定量的評価により、現状の汚濁負荷流出量及び流出機構の実態について多くの特徴を明らかにした。八郎潟干拓地の低湿重粘土水田において、水田からの汚濁負荷対策の具体的検討として2つの新しい栽培方法、不耗起栽培、無代かき栽培、また比較水田として慣行の代かき栽培田について、水田への汚濁成分の流入量と流出量の経時的、定量的評価を行い、環境負荷軽減効果を灌漑時期別に定量的に明らかにした。 これら2つの新農法はいずれも浸透流出量の増加を伴うが窒素については浄化型となり流域に対して、水質浄化機能を発揮していた。リンについては肥沃な土壌からの溶出が卓越し、負荷発生源となっているがその程度は施肥量に比較し10%程度となった。また低湿重粘土土壌であっても地中排水による流出では硝酸態窒素が主体であった。調査研究方法の点では、単位水田からの汚濁負荷量測定方法について、これまで以上の測定精度の実現をめざした。1.25haの水田、気象観測ロボットの近隣500m以内地点に試験田を設置、流入流出量の連続測定と、水質の高頻度測定により、特に流出経路別の系時変動測定をめざし、面減負荷定量評価方法の高精度化、測定評価の簡易化、安定化に基づくデータを得た。
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