研究概要 |
本研究課題は,従来にない新しい運搬用機械の開発を目的としており,とりわけ中山間地域における畑作,果樹作,林業一般における作業の省力化を念頭に置き,二足移動機構を有する小型運搬機械の研究開発を提案するものである.本研究の大きな特徴は,二足移動機構として冗長双脚を導入し,遊脚着地時の衝撃力吸収動作および腰(運搬台)位置の準静定動作を達成させる点にある. これまでの成果としては,制御理論・手法の構築を終え,計算機シミュレーションによる解析を完了している.提案手法では,脚の重心位置を任意に動作制御させるために冗長自由度を利用しており,零空間外乱オブザーバに基づく非干渉制御法を新たに導入している,これに次ぐ実機検証のために,既存の試作機(二足歩行ロボット)に駆動機構部を追加改造して冗長双脚機構を完成させ,また,電源供給装置の増設ならびに容量増加を施し実験システムを構築した. 現在では提案手法の実機検証に取り組んでいる.この経過において,計算機シミュレーションによる解析結果におおむね合致した動作特性ならびに衝撃力低減応答を得ることができた.とりわけこの成果で得られた新たな知見としては,従来機では静加重を大きく上まわる衝撃力が発生する一方で,新たな試作機では静加重を越える衝撃力が発生せず,さらに提案手法の適用によってより小さな加重変化を生じさせるよう制御することを可能としたことが挙げられる.これは柔軟地盤に対してやわらかな踏み込み動作を実現するものであり,二足移動機構の実用化に大きく寄与する成果といえる.
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