研究概要 |
ニワトリBAC(バクテリア人工染色体)ライブラリー(49,152クローン)を準備した.しかし,そのニワトリBACはコマーシャルニワトリを持ちいて作出されていること,ニワトリMHC(主要組織適合遺伝子複合体)の基本構造が英国科学雑誌に報告されたことから,新たにニワトリマレック病抵抗性系統(Cornell-P:B^<21>遺伝子)および感受性系統(Cornell-N:B^<19>遺伝子)からBACライブラリー構築することとし,現在構築の途中である.両系統は,米国コーネル大学から導入した.また,BACライブラリーからMHC遺伝子をスクリーニングするためのPCRプライマーをMHCクラスII遺伝子に設計した.このプライマーによりB^<21>およびB^<19>遺伝子を正確に分離できることが明らかとなり,作成したプライマーのスクリーニングへの有用性が示唆された. ニワトリMHC遺伝子の成立を解析するために,ニワトリおよびその起源種と考えられているヤケイのMHCをPCR法により特異的に増幅し,分子系統学的に解析を行った.この結果と,ミトコンドリア全ゲノムの塩基配列を用いた系統解析との間に差異が生じた.これはMHC遺伝子が遺伝子重複により成立してきた遺伝子であることから,MHC遺伝子ファミリーをより多く解析し,MHC遺伝子の数,ニワトリが属するキジ目内の種および品種の数を増やして分子系統学的に解析する必要があると強く示唆された. 今後は,1.BACライブラリーからマレック病抵抗性および感受性系統のMHC遺伝子を分離し,全塩基配列を決定する.2.ニワトリMHC遺伝子の成立を解明するために,複数のMHC遺伝子のlocusを増幅し,最新の分子系統学的手法でそれぞれのMHC遺伝子の起源を解明する.ことを目的に継続して研究を推進する.
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