研究概要 |
1,ラット発情周期中の発情期ではインヒビンによるFSH分泌抑制を解除しても血中FSH濃度の増加は他の時期に比較して低く、これは下垂体のFSH含有量の増加率が低いためであった。このときFSHβ鎖mRNAのレベルは他の時期に比較しても十分に増加していたことから、発情期のFSH分泌抑制には転写後調節が関与している可能性が推察された。 2,FSHβ鎖の転写後調節機構を研究するために下垂体の性腺刺激ホルモン分泌細胞由来の株化細胞を樹立することを試みた。FSHβ遺伝子のプロモーター下流にSV40ウイルスのT抗原をつなげ、下垂体前葉初代培養細胞にその遺伝子を導入した。それらの細胞について現在継代培養中である。 3,フォリスタチンはTGF-βスーパーファミリーに属するアクチビンと結合することによってその作用を阻害することが知られており、その作用によって下垂体からのFSH分泌を抑制する。フォリスタチンもインヒビンと同様にFSHβmRNAの発現を転写後調節により抑制する。本研究ではこのフォリスタチンに構造の類似したFLRGのマウスとラットのcDNAを分離し、さらにFLRGがアクチビンおよびBMPとの結合能を持つことを明らかにした。 また、FLRGもフォリスタチンと同様にアクチビンの作用を阻害することが明らかとなった。
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