ラットの内分泌細胞の分布と形態をprotein gene product9.5(PGP9.5)、calcitonin gene-related peptide(CGRP)免疫組織化学によって検索した。内分泌細胞はフラスコ型の開放型で喉頭腔を取り囲むように分布していた。高炭酸ガス・低酸素の状態に3ヶ月暴露して対象群と比較したところ、PGP9.5陽性細胞は約1.5倍、CGRP陽性細胞は約6倍の割合で増加した.また、内分泌細胞の近傍にはPGP9.5陽性神経線維とCGRP陽性神経線維が認められたが、迷走交感神経幹切断および上喉頭神経切断の影響を受けなかった。すなわち、喉頭の内分泌細胞は二酸化炭素によって活性化し、局所の調節を行っていることが明らかとなった。電子顕微鏡による観察によって、これらの内分泌細胞が微絨毛を持つ開放型の形態を確認し、tuft cellsと類似した形態を有することが明らかになった。また、比較組織学的な検討を加えるためウマの喉頭組織を観察したところ、味蕾や葉状神経終末などの多くの神経終末構造はラットに類似するものの、内分泌細胞は非常に稀にしか観察されなかった。次に、6%炭酸ガスで満たしたアクリルチャンバの中に3時間ラットを係留した後の脳幹におけるFosの発現を観察したところ、コントロール群に比べて孤束核、室傍核、青斑核、縫線核で有意にFos発現細胞の数が増加した。これらの部位が気道で感じたCO_2受容の統合中枢である可能性が高い。
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