<概日時計の分子機構の解明>地球上の生物は約24時間のリズム(概日リズム)を刻む時計機構を有している。我々はこれまでにウズラにおいて概日リズムを刻む時計遺伝子を3つクローニングすることに成功し、その内のひとつであるqPer2遺伝子の発現が光によって誘導されることによって鳥類の概日リズムの同調機構が説明できることを明らかにした。したがって光によるqPer2遺伝子の発現誘導のメカニズムを明らかにすることは概日時計の入力系の解明につながる。そこで本研究では光によってどのようにしてqPer2遺伝子の発現が促されるのかを明らかにすることを目的として、まず、qPer2遺伝子の上流領域の塩基配列を明らかにした。つまりqPer2 cDNAをプローブとしてニワトリゲノムライブラリーのスクリーニングを行ない、翻訳開始点から約13kbの塩基配列を決定した。またプライマー伸長法により転写開始点の決定した。現在までにクローニングした上流領域を様々な長さに切り取り、ルシフェラーゼ遺伝子の上流にサブクローニングすることに成功している。 <季節繁殖の分子機構の解明>鳥類の季節繁殖(光周性)に関する研究は古くからウズラにおいて進められ、概日時計によって日長を測っていることが明らかにされていたが、その分子機構は未だ明らかにされていない。我々は鳥類の時計遺伝子を用い、光周反応の分子機構を明らかにすることを目的としている。本年度二つの時計タンパクqPER2及びqPER3に対する抗体をそれぞれウサギ及びマウスで作成し、これまでに振動体の存在する眼において免疫組織化学を行い、抗体の特異性を確認した。現在これらの抗体を用い、光周反応を制御する正中隆起において長日、短日で時計タンパクの免疫陽性反応を検討中である。
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