研究概要 |
遺伝子発現は、その発現を調節するDNA配列(シスエレメント)とそこに結合するタンパク質によって制御されている。植物において、光に応答して遺伝子発現を調節するシスエレメントはいくつか見つかっている。それにも関わらず、光による遺伝子発現調節機構の研究は必ずしも進展していない。これは、複数の光応答シスエレメントがRNA polymerase認識部位しかもっていないプロモーター(最小プロモーター)と協同して遺伝子発現の変化を引き起こすからである。すなわち、一つのシスエレメントのみで最小プロモーターに光応答能力を付与できるものは、今まで見つかっていなかった。しかし、DE1と名付けたシスエレメントは、最小プロモーターに光応答能力を付与できる能力をもっていることがわかり、今年度報告した(JBC,275,19723)。 このDE1エレメントと特異的に結合するタンパク質(DF1)をコードしているcDNAを単離した。DF1は、Myb DNA結合ドメインと遠縁関係にあるtrihelixドメイン(Plant Physiology,124,491)をもつDNA結合結合タンパク質であった。大腸菌で作らせたDF1タンパク質は特異的にDE1エレメントと結合した。興味深いことに、DF1は、DE1とは全く配列の異なる光応答シスエレメントGT2とも特異的に結合することがわかった。すなわち、一つのタンパク質が、配列が異なるけれども機能は類似した二つのシスエレメントを制御していることがわかった。
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