研究概要 |
1.ギャップ結合蛋白質Cx45欠損マウスの表現型を解析し、論文として発表した。Cx45欠損マウスは、胎生9日目に心臓の伝導障害と、形態形成障害(trabeculation defect, cushion defect)を呈して死亡する。マーカー発現解析により、これまで知られていなかった内皮細胞におけるCx45の発現が明らかとなり、Cx45は、内皮細胞間のカルシウム協調機構にかかわっている可能性が示唆された。従って、Cx45欠損マウスにおける形態形成障害は内皮細胞の機能障害の結果であると推測された。カルシウムイオン依存性の転写制御因子Nfatc1が、Cx45欠損内皮において不活性化しており(対照群は活性型)、カルシウム協調モデル仮説を支持していた。このモデルは、ギャップ結合の発生分化における関与機序を初めて具体的な分子機構スキームとして提示した画期的なものであるとの評価を受けた。 2.胎生8.5日胚を用いて、DNAマクロアレイ解析を行った。Cx45欠損胚において特異的な遺伝子発現プロファイルが明らかとなり、今後の重要な研究指針が得られた。 3.条件下コネキシン系列欠損マウス作製のため、ターゲティングベクターを構築中である。 4.Cx45の機能解析を進めるため、Cx45のダブルノックアウトES細胞を作製して、その細胞分化系譜を解析している。 5.Cx43-Cx45ダブルノックアウトマウスを作製して、受精卵からの発生状況を解析している。
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