中枢化学受容器の存在する腹側延髄表面細胞から、Differential Display法により1回膜貫通型蛋白質Rhombex-40をコードしている遺伝子(rhombex-40)を単離した。この遺伝子の中枢神経系における発現部位の同定をalkaline phosphatase標識ジゴキシゲニンを用いたin situハイブリダイゼーションによって試みた。 Rhombex-40 mRNAの強い発現が以下に示す脳幹の領域でみられた。1.疑核、2.迷走神経背側運動核、3.舌下神経核、4.外側網様核、5.被蓋網様核、6.橋網様核、7.縫線核、8.前庭神経外側核、9.前庭神経内側核、10.顔面神経核、11.三叉神経運動核、12.三叉神経中脳路核、および13.青斑核。また、rhombex-40の中程度の発現が以下に示す間脳及び小脳の領域でみられた。1.視床下部室傍核、2.視索上核、3.脳弓下器官、4.赤核、5.不確帯、6.内側中隔核、および7.小脳プルキンエ細胞層及び顆粒細胞層。さらに、rhombex-40の弱い発現が海馬CA1領域及びCA3領域でみられた。 以上の成果はrhombex-40が中枢神経系内で広範囲に分布することを示しており、本研究課題を遂行する上での重要で新しい知見である。
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