|
本研究の目的は、ブタの肝臓からプロゲステロンの細胞膜受容体として発見されたタンパク質のラットホモログcDNAをクローニングしそのラット脳内の発現部位を同定すること、およびこの分子の生理的意義、分子的作用機序を明らかにすることである。本研究は2年計画で実施され、本年はその一年目にあたる。
本年度の研究により、ラット脳のtotalRNAからRT-PCR法によってラットホモログ全長cDNAのクローニングに成功し、このクローンの全長DNA配列を明らかにした。さらに、ノザン解析の結果、ラット脳のほぼ全域に発現していることが示唆された。また、ゲノム構造を明らかにすること、その上流域の情報を得ることを目的として、ラットゲノムライブラリーをスクリーニングした結果、このタンパク質をコードしていると思われるゲノムクローンの単離に成功している。
来年度に継続して行われる予定の実験は、前述ゲノムクローンの制限酵素地図の作成、およびDNA配列の決定である。来年度には、さらに、in situ Hybridization法による詳細な脳内発現部位の同定を目指して実験を行う予定である。また、これと平行してリコンビナントタンパク質を作製する。このリコンビナントタンパク質に対する抗体を得ることは、免疫組織学的研究によるタンパク質レベルでの脳内発現部位の同定を可能にするばかりでなく、免疫沈降法を用いてこのタンパク質の関連分子を同定し、生理的意義を検討することが可能である。これらの研究を来年度も引き続き実施することによって、この分子の生理的役割が明らかになると考えている。
|
